中島みゆきの凄さは『独自の世界観』と『普遍性』
前回の記事で、中島みゆきの凄さは『独自の世界観』と『普遍性』であると説明してきました。今回はそれを象徴するような、中島みゆきの曲でまずはこれを聴くべきとも言える楽曲を紹介します。
- 中島みゆきの凄さは『独自の世界観』と『普遍性』
- 歌詞をみながら聴きたい
- ①壮大な世界観:『時代』
- ②努力する人は孤独、だけど素晴らしい!:『ファイト!』
- ③包み込む母の愛:『歌姫』
- 壮大さを感じる名曲
歌詞をみながら聴きたい
中島みゆきさんの楽曲にはすごく力があります。そして何よりも選ぶ言葉がとても素敵で、まさに天才です。中島みゆきさんの曲はゆっくりと詩を見ながら聴き、想像してみると凄さがよく分かると思います。
①壮大な世界観:『時代』
まず最も中島みゆきを代表する曲の一つです。何がすごいって、これがリリースされたのは1975年、中島みゆきさんが23歳の時です。ただ、曲自体は18歳頃には出来上がっていた、とラジオでおっしゃっていました。20歳前後でこれだけの世界観を作り出すことができる言葉の紡ぎ方はもう天才としか言えません。
成果が出ず苦しんでいる人・悩んでいる人に聞いてほしい一曲
この曲は是非とも、努力しているが苦しんでいる人・悩んでいる人に聞いてほしい一曲です。私も受験生・仕事で追い詰められた時はいつもこの曲が支えてくれました。
暗くて苦しい”自分”
出だしはとんでもなく『暗い』です。今、人生のどん底に落ちていると感じている『自分』から詩がスタートします。
包み込んで励ましてくれる
出だしの『暗い』状態で、もう二度と立ち直れない、と思っている『自分』に対して視点が変わります。そしてそれはもっと俯瞰的で壮大な世界観を持った人の視点。
『そんな時代もあったよねって、将来きっと笑って話せる日が来るよ。だからくよくよしないで今日の風に吹かれましょう。』
まさに苦しんでいる『自分』を包み込んでくれる『母』のような存在です。
誰もが挫ける。だけど立ち上がって前に向かって進む!
歌詞の中では旅人に喩えられていますが、旅人は例え倒れたとしても、出会いと別れという『時間』を積み重ねていき、生まれ変わって新しい『自分』となって前に向かって進でいく。だから前を向いて進もう!って励まされているように感じます。
努力しているけど成果が出ず苦しんでいる人、悩んでいる人。
そんな人へみゆきから、そんなことを積み重ねていくのが人生だよ。
絶対に無駄にならないから頑張ればいつか笑って話せるようになるよ!
って励まされる一曲。
②努力する人は孤独、だけど素晴らしい!:『ファイト!』
次に紹介するのが『ファイト!』です。この楽曲は1994年に発表された曲です。この曲は中島みゆきさんのラジオに寄せられた視聴者からの手紙が元に作られた歌です。
外部に抑圧される人たち
この曲にはさまざまな登場人物がいます。『中卒だから仕事がもらえない人』、『ガキだからと殴られる人』、『駅で子供を突き落とした女性を目撃したけど何もできなかった人』。
この登場人物に共通していることは外部によって抑圧されていて、自分の思い通りなっていない人たちです。
笑うやつは努力してないやつだ!
そんな人たちに中島みゆきさんは、『闘ってる君を笑うのは闘わない奴らだ!』と一蹴します。ここが最高にかっこいい中島みゆきの視点と表現力です。
そして、『冷たい水の中を震えながら昇って行け』という表現で、努力することは本当に大変だけど、つき進め!と背中を押してくれています。
輝いているのは傷ついている証拠
中島みゆきさんはこの曲の中で魚を例えに出しています。魚が輝いて見える理由は、荒波に逆らって泳いでいて鱗が剥がれかけているからだ、と。これを置き換えると、周りに抑圧されているがそれに逆らい続け、自分の道を突き進むと傷はつく。だけどその傷こそが人間としての輝きだ!と言ってくれているようです。
周りから認められない、馬鹿にされている人へ送る、
中島みゆきさんは努力する人のことを笑う奴らは努力しない奴らだ!
荒波に逆らって努力する人は人として輝いている!
だから頑張って突き進め!ファイト!
③包み込む母の愛:『歌姫』
葛藤している自分
全てを包み込む『歌姫』
そしてそれを全部包み込んでくれるような壮大な歌。
自分の苦しみを理解してくれている、と感じるまさに”母親”の視点での名曲。